ちょっと待って!契約する前に読む システム発注5つの注意
ありがちな失敗、侵しがちなミス。お客様の「助けて!」の声の先にあった、様々な実態。
システム開発を成功に導く基本的な注意点をたった5つにまとめました。
5.業務規模に不相応なシステムの発注
業務規模に不相応なシステム発注の例をお話致します。
システム会社の中にも、商社的な会社、作業者の斡旋を生業としているような会社があります。
受託専門の部署を抱えている会社ならいいのですが、そうではなく、中にはシステムについて全く知識がない会社も存在します。
そのため見積も、要件や利用環境など外注に相談したり、大手の会社に相談したりしてしまいます。
相談された方は、そのまま、鵜呑みにし、当然、それに見合う分野での提案を返してきます。
そんな会社の場合、発注先の選定ミスによって不相応なシステム開発となってしまったり、また、不十分な調査がもとで重要な要求や環境が正しく発注先に伝わっていない事による不相応なシステムの開発が行われてしまうことがあります。
ここで言う不相応なシステムとは、業務の規模に合わせたシステムを指します。
例えば、タバコ屋のおばちゃんが、タバコの売上の管理をしたいならExcelでも十分です。
それを、大型のサーバを使用しJava+Oracleで大規模システムを使用したら過剰な仕組みとなってしまい、なお、開発費用、保守費用が莫大にかかりタバコの売上が全て持って行かれてしまいます。
逆に、大手の自動車製造会社が大量生産される工場の生産の管理には、数百人の従業員が入力でき、リアルタイムに製品の流れが把握できるように大型のシステムが必要です。
それをExcelで管理したら、これこそ大変です。
Excelのファイルの管理やメンテナンスのために生産どころではなくなってしまいます。
(それなら紙で管理したほうが、まだマシです。)
分かりやすい様に大げさな例で書きましたが、少なからず、これに似た事例を耳にします。
怖いのがシステムの納品が完了しても、その過ちにシステムを依頼した本人、受けた商社もしくは斡旋業者、及び、製造した会社が気が付いていない事です。
そんな中、気が付いている人がいます。
こう言った例で、良くありがちなのが開発に携わった作業者はシステム依頼者の業務を理解していかなければならないので、徐々に依頼者の業務に不相応なシステムであると分かります。
「本当に、こんなので作っちゃっていいの?」と心で思っていることでしょう。
権限の無い、一作業者では最後の納品日まで会社への進言も出来ません。
分かっているのは一作業者だけだったという話が多くあります。
技術の幅が無いシステム会社の場合も同様です。
その会社が得意な分野で見積もりを出してきます。
それが、高ければ問題もないのですが、安かった場合、そちらになびく傾向がお客様にはあります。
その様な場合、納品後に運用がスタートすると処理が遅く使いものにならない、機能が少ない等、困った事態が発生します。
しかし、その程度でおさまれば良いですが、最悪な結末に陥る時があります。
全く動かなくなる、
システムが落ちる、
コンピュータが落ちる、
データが壊れる、
運用が出来ない、
システムの作り直し…、
再納品、等、泥沼にハマっていきます。
危なくすると投げてしまってギブアップするシステム会社もあります。
そうなると、他のシステム会社を探さなければなりませんし、ギブアップした会社からお金が返ってくるとは思いますが、損害賠償問題にも発展しかねません。
パッケージソフトを持っている会社の場合、そのパッケージソフト有りきからスタートします。パッケージソフトは、基本的にオーダーメイドのソフトウェアよりは圧倒的に安いです。
これも極端な例ですが、先程のタバコ屋のおばちゃんも、大手の自動車製造会社も、これを使わされます。
このソフトを基にタバコ屋のおばちゃん用に、大手の自動車製造会社用にソフトをカスタマイズします。しかし、このパッケージソフトが、どの規模の会社をターゲットにしたものかにより上記の例で記載したことと同じ事象が発生します。
もし、タバコ屋のおばちゃんをターゲットに開発されたソフトだったら、大手の自動車製造会社には向きません。逆に、大手の自動車製造会社をターゲットに開発されたソフトだったらタバコ屋のおばちゃんには向きません。
結果、上記の例と何ら変りがないのです。
契約前には、業務の規模と相応のシステム化をよく検討される事をお勧めします。