前任者が残した「スパゲッティVBA」を解読して、保守可能なAccessに再生するコツ
「前任者が作ったAccessがあるけれど、コードが複雑すぎて誰も触れない」 「一部を直すと、全く関係のない場所でエラーが出てしまう」
このように、あちこちの処理が複雑に絡み合い、解きほぐせなくなったプログラムを、親しみを込めて(あるいは皮肉を込めて)「スパゲッティコード」と呼びます。 作成した本人がいない今、このシステムは会社にとって「動いているのが奇跡」という爆弾のような存在になっているかもしれません。
しかし、諦めてすべてを捨ててしまう必要はありません。 今回は、このスパゲッティ状態のAccessを、再び誰でも扱える「健康なシステム」に再生するための現実的なステップを解説します。
【現状診断】こんな状態はイエローカード!
・1つのボタンに、何百行もの長いプログラムが書かれている ・「Module1」「Module2」など、中身が想像できない名前のファイルが並んでいる ・日本語の説明(コメント)が一行も書かれていない これらが重なっている場合、早急なメンテナンスが必要です。
ステップ1:まずは「外側」から観察する
いきなり複雑なプログラムの海に飛び込むのは危険です。 まずはコードを読もうとする前に、そのシステムが「どのテーブルを使い」「どの画面から入力し」「どんなレポートを出すのか」という、外側の動きをメモにまとめましょう。
プログラムはあくまで「道具」です。 何のためにこの道具が存在しているのかという「目的」が整理できれば、複雑に見えるコードの中でも、本当に重要な部分と、実はもう使われていない不要な部分が見えてくるようになります。
ステップ2:一度にすべてを直そうとしない
スパゲッティを解くときに無理に引っ張ると、麺が切れてしまいます。 プログラムも同じで、一度に広範囲を書き換えると、どこが原因で動かなくなったのかが分からなくなります。
【再生のコツ】小さな「部品化」を進める
巨大な一塊のプログラムを、一度に直すのではなく「消費税を計算するだけの部品」「住所を整えるだけの部品」といった具合に、小さな役割ごとに切り分けていきます。 この作業を繰り返すことで、中身が整理され、後から修正するのが圧倒的に楽になります。
ステップ3:未来の自分(後任者)へメッセージを残す
解読に成功した箇所から、少しずつ「コメント(注釈)」を書き込んでいきましょう。 VBAでは、行の先頭に「'(シングルクォーテーション)」を付けることで、プログラムとして実行されないメモを残すことができます。
「なぜこの計算をしているのか」「この数字は何を意味しているのか」 自分が苦労して解読した内容を日本語で残しておくこと。 これが、システムの属人化を防ぎ、スパゲッティ化を再発させないための最強の防御策になります。
「プロの掃除」を依頼するという選択肢
もし、日々の業務が忙しくて解読する時間がない、あるいはコードを見るだけで頭が痛くなってしまうという場合は、プロに「コードの清掃(リファクタリング)」を依頼するのも一つの手です。
プロの技術者は、複雑な絡まりを整理し、最新のAccessでも安全に動く「きれいなコード」に書き換える技術を持っています。 一度きれいな状態にリセットしてしまえば、その後のちょっとした修正は自社で行えるようになり、結果として長期的な保守コストを下げることができます。
爆弾を「資産」に作り変える
前任者が残したシステムは、それだけ長く会社の業務を支えてきたという証でもあります。 中身がわからないからと怖がるのではなく、整理整頓をして、再び光を当ててあげましょう。
中身が見えるようになったシステムは、もはや爆弾ではなく、会社の歴史が詰まった大切な「資産」です。 一歩ずつ、絡まった糸を解きほぐしていくことで、より強く、より使いやすい環境を手に入れることができます。 もし、どこから手をつければいいか迷ったら、まずはシステムの「全画面のスクリーンショット」を撮ることから始めて、専門家に相談してみてください。


