システム開発コラム集
Aceessでのシステム開発に関するコラム集です。
186.Accessでのシステム開発を初めて検討する中小企業が考えるべき3つの判断基準
中小企業の業務効率化や情報共有の仕組みづくりにおいて、Microsoft Accessでのシステム開発は今も有力な選択肢です。Excelでは管理しきれなくなったデータを整理したり、部門間で共有できる仕組みを作ったりするのに適しており、比較的低コストで導入できるのも魅力です。
しかし「Accessでシステムを作ってみよう」と思い立っても、開発をどう進めるべきか迷う企業は少なくありません。そこで、初めてAccessでのシステム開発を検討する中小企業が押さえておくべき3つの判断基準をご紹介します。
1.システムの規模と複雑さを見極める
最初の基準は「自社に必要なシステム規模」です。Accessは小規模から中規模のデータ管理に向いています。たとえば顧客管理や在庫管理、案件進捗の共有など、数万件程度のデータを扱うシステムなら十分対応可能です。
一方で、社内全体で大規模に利用したり、数十万件以上のデータを同時に処理したりする場合は、Access単体では処理速度や安定性に課題が出る可能性があります。その場合、SQL Serverと連携したハイブリッド構成を検討するのが現実的です。どのくらいのデータ量や利用人数を想定しているのかを明確にし、それがAccessでのシステム開発の強みと合致しているかを判断することが第一歩となります。
2.自社で運用できるか、外部に委託するか
次の基準は「運用体制」です。Accessは比較的習得しやすく、システム担当者が社内で小規模な改修を行える点がメリットです。しかし、最初の設計や複雑な機能追加となると、専門知識が必要になります。
定型的な業務を効率化するだけなら自社で構築する方法も有効ですが、基幹業務に直結するシステムは専門会社に開発委託した方が安心です。外部の開発会社に依頼すれば初期投資はかかりますが、要件定義から保守まで任せられるため、結果的に安定した運用につながります。
中小企業にとって大切なのは「導入して終わり」ではなく「継続して活用できる仕組み」です。そのため、Accessでのシステム開発を進める際には、運用体制をどう確保するかを事前に検討しておくことが欠かせません。
3.コストと効果のバランスを考える
最後の基準は「費用対効果」です。Accessでのシステム開発の大きな魅力は、比較的低コストで導入できる点にあります。Excelや紙ベースの管理を続ける場合に比べ、入力の手間削減や情報の一元管理による効率化効果が期待できます。
ただし、あまりに低予算で開発を進めると、要件を満たさない中途半端なシステムになり、結果的に使われなくなるリスクもあります。反対に、過剰に高機能なシステムを導入しても、現場の運用に合わなければ活用されません。
中小企業にとって大切なのは「現場の課題を解決できる最小限の仕組みを、適正コストで導入する」ことです。投資に見合う効果が得られるかを常に意識して判断することが、Accessでのシステム開発を成功に導くポイントとなります。
導入を考える企業へのヒント
Accessでのシステム開発をうまく活用できるかどうかは、規模や複雑さ、運用体制、費用対効果という3つの基準をどう見極めるかにかかっています。自社の状況に合わせて検討を進めれば、Accessでのシステム開発はコストを抑えつつ業務効率を大きく改善できる有力な手段となります。